トラウマとは、個人で対処できないほどの圧倒されるような体験によってもたらされる心の傷のこと、とあります。
確かに、このような大きな心の傷と向き合うのは、とても勇気のいることなので、長いこと目を逸らして生きてしまうことにもなり得ます。
けれども、見方によってはトラウマになるくらいの体験というのは、本人にとって分かりやすいという点はあるのです。
逆に、本人は全く気付かぬうちにとても大きな心の傷を負ってしまう場合もあるのです。その多くは、幼い頃の日常的な親との関係性です。
子供のうちは家庭内の経験が常識化されてしまうので、どのような親子関係であれ当たり前になってしまいがちです。
例えば、子供にとって安心させてもらえないような家庭環境であると、大人になって不安が強く残ってしまうのです。
あるいは、親との心の交流が十分に与えられてなければ、困った時に助けてもらえないという信念が出来上がるのです。
こうしたことは、記憶に残るような大きなイベントがないため、大人になって過去を遡ってみても問題を見つけにくいのです。
その反面、その影響は非常に大きなものとなる可能性が大なのです。このような場合、セラピストとクライアントさんとの間に、認識の差が出てしまうことにもなります。
心にダメージを与えてしまうのは、トラウマのような一過性の体験だけでなく、日常的な毎日の経験の中にもいくらでもあるということを知る必要があるということですね。