一般的には、私たちは空想と現実の違いは明確に分かっていると思い込んでいます。考えていることが空想で、ありありと目の前に在ることが現実だと。
それは確かにそうなのですが、実はこれは現実であって間違いないと信じていることの中にも、かなりの程度で空想が入り込んでいることには気づかないでいるのです。
それがどのくらい分かりづらいものなのか、いくつか例を用いて見ていきたいと思いますが、その前に条件があるのです。
それは、自分の知識を使わない、先入観を使わない、赤ちゃんのような目で純粋に見るという態度が必要なのです。
その上で、空想というのは、思考、妄想、イメージ、概念、観念、信念、思い込み、そういった物全てが当てはまります。
例えば、部屋の中にいて一人ソファに腰掛けているとします。向こう側にある部屋の壁をぼんやり見ていて、その壁までの距離は数メートルあるなと感じているとします。
この状況の中で、現実だと言えるのはどこまででしょうか?え、全部事実じゃないの?と思うかもしれませんが、そうでもないのです。
実際のところ、「〜感じている」という部分だけが事実であって、それ以外は全て事実ではないのです。
ソファに腰掛けていて(そう感じている)、向こう側にある壁を見ている(そう感じている)。壁までの距離は数メートルある(そう感じている)。
上の文章のカッコの部分だけが事実であって、それ以外はイメージなんですね。距離というのは概念なんです。
壁と私の間に空間があるという時の空間も概念。赤ちゃんのように見ることができたとしたら、こんな感じになるのでしょうね。
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