「個人の問題」などない

子供の頃に、よく空に浮かんでいる雲を眺めていて、ふと気づくと距離感が曖昧になって、どのくらい遠くにあるのかの感覚がなくなることがありました。

でも瞬きしてしまうといつもの距離感に戻されてしまうのですが、あの不思議な感覚が面白くて、何度も繰り返して楽しんでいました。

非二元の探求をするようになって、距離感がバグってしまうあの感覚こそが、本来の感覚なのだなと今なら分かるのです。

なぜなら、空間とか距離というものが単なる概念だと気づいたからです。つまり、雲は遠くにあるわけではないのです。

一般的な私たちの感覚としては、自分の思考や感情、あるいは身体からやってくる感覚などの方がすぐ近くにあると思っています。

けれども、それらは身体の中で発生しているのではなくて、あの空に浮かぶ雲となんら違いがないのです。

そのことに気づくと、本当に個人性というものが薄れていくのが分かりますね。具体的な事例で説明してみます。

例えば、いつも首から肩にかけての凝りがひどくて辛いと感じているなら、普段ならその辛さは悪いことだし、何とかして治したいと思うわけです。

けれども、その凝りの感覚は「個人の問題」から「空に浮かんでいるように見える雲と同じ単なる現れに過ぎない」と気づくことで、何かが柔らかくなる感じがしますね。