クライアントさんとのセッションの中でお話しするのは、「逃げずに自分の心の中にあるあらゆる感情を見てみてください。どんないやな感情でも逃げずに見てしまえば消えていきますよ。」ということです。
これが基本であって、結局これしかないのです。こんなシンプルなことで、本当に心が癒されていくのか、不自由に感じている人生が気楽なものへと変貌するのか、と疑念が湧くのももっともです。
でも本当にこれだけなのです。でも、人間の心には、幼いころに無自覚に作りこんでしまった様々な自己防衛のメカニズムがあって、それが現在の自分をコントロールしているので、簡単ではありません。
気づかぬうちに、都合の悪い感情を心の奥に追いやって、なかったことにしてしまうのです。自己防衛システムは、幼かった自分を生き延びるようにと作られたのです。
そして、不安な毎日を少しでも一瞬でも安心できるようにと工夫することで作られたものです。したがって、そんなメカニズムにコントロールされている限り、大人の自分が幸せになれるはずがありません。
一過性の安心を得るために努力した代償は想像をはるかに超えるくらい大きなものです。なぜなら、無邪気で無防備なあなたの心をねじ伏せて、生き延びるほうを選ぶからです。
あまりにこの傾向が強すぎれば、あなたは自分が一体何をしたいのか、何を求めているのか、自分の好みは何なのかといった大切なあなたの個性がわからなくなってしまうのです。
あまりにも、周囲の反応にばかり気を使って生きていると、さまざまな人の反応に自分を合わそうとしてしまうために、人格を固定化することができなくなってしまうのです。
そのために、一体自分とはどんな人物なんだろうかという疑問がついてまわることにもなるのです。癒しの原点に戻って、ただただ今この瞬間あなたの心の中の感情、想い、気持ち、主張などに耳を傾けることです。
そして、否定も肯定もない静かな心でそのすべてを抱きしめることです。無邪気なあなたが顔を出すかもしれません。自分の本当の好みに気づけるかもしれません。
周りの人への気の遣い方も変わってくるはずです。そして、長い間忘れていたあの清々しい感覚を思い出すこともできるようになるはずです。