A1

Q1:催眠療法って怖いような感じがしますが…

Ans.1

 催眠に対する誤解を持っているために不安感が拭えない方がいるようですが、催眠療法は決して怖れるようなものではありません。まずは、催眠についての説明を参考にして下さい。また、催眠への具体的な誘導方法については、セラピストによって様々であるはずですが、セラピストがクライアントさんを誘導する他者催眠の形式を取ることでは共通しています。もし、セッション開始時の催眠誘導中に何らかの不都合などを感じた場合には、どんなことでも遠慮せずにセラピストに言うべきです。

 しかし、催眠療法で大切なのは催眠そのものではなく、あくまでもセッションの中身です。セッション中のセラピストとクライアントさんの関係は、例えて言えばクルマのラリー・レースのナビゲータとドライバのようなものです。セラピストはナビゲータとして、セッションの方向を定めて、目的地まで案内することはできますが、実際にクルマを運転しているのはクライアントさんなのです。二人の関係が重要であることは明らかですし、信頼関係(ラポールと言います)ができてなければ、どんなすぐれたセラピストでもセッションに失敗することになるでしょう。催眠療法では、怖れのために受身になってしまうのではなく、クライアントさんが自主性を持ってセッションを進めていくことがとても大切なことです。

 また、催眠療法のセッション中に、過去の辛い出来事などを思い出すことをとても怖れている方がいます。人は誰でも悲しい出来事や、思い出したくないエピソードなどを心の奥にしまって蓋をしているのですから、その蓋を開けて中の様子を見ることは場合によっては確かに恐怖を感じるのもやむを得ないことでしょう。その場合には、無理に蓋をこじ開けることはないのです。人それぞれに自分のタイミングというものを持っています。その時期が来れば、自然と蓋が緩んできて心の中を見つめることになるのです。また、もっと別の方法でも自分を癒すことはいくらでもできるのですから、催眠療法にこだわる必要はありません。

 大切なことは、自分を癒すのはほかの誰でもない自分自身であるということを理解して、勇気を持って取り組むことなのです。それができる人にとっては、催眠療法はとても効果的なセラピーであることは間違いありません。