ラポール

10年前に催眠療法の勉強を始めたときに、真っ先に出てきたのがラポールという聞きなれない言葉でした。

ラポールとは、セラピストとクライアントとの間の信頼関係のことを言うのです。催眠療法に限らず、セラピストとクライアントとの間の信頼関係がなければ、どんな心理療法であってもうまく行かないのです。

そのため、まず初めにラポールを築くことが各種心理療法を行う上での基本的な前提条件であると習ったわけです。

特に、催眠療法においては、クライアントの立場は目を閉じて誘導を聞いていきながら、催眠状態というある種特別な精神状態になるということで、不安を感じやすいのです。

従って、セラピストとの間でラポールを築く事がとても大切な要件になるのです。つまり、信頼しあうことでその不安を安心に変えることが重要なことなのです。

ラポールを作るうえで必要となるのが、相手の気持ちを受け止める姿勢であったり、やさしい愛の眼差しであったりするわけです。

このようにしてラポールを作るというと、何となく技術的なテクニックの要素があるように感じてしまうかもしれませんが、実は誠実な気持ちと愛があればいいだけなのです。

出来る限りを尽くして、クライアントの気持ちを受け止めると同時に、傷ついた心をやさしく包むような慈愛の気持ちです。

そして、よく考えてみるまでもなく、そうしたことはごく普通の人間関係の中でも全く同じことが言えるはずですね。

相手を大切に思う気持、いたわるような態度、そういったごく当たり前の心をもって周りの人と接することで、そこでもラポールを築いて円滑な人間関係を作ることはとても大切なことなのです。