自己否定感 その2

誰でも心の底に、理由なき自己否定感というものを持っています。それは、自分とはこうだから、ああだから駄目なのだといった明確な理由のない否定感です。

それは、3歳くらいの時にやってくると考えられます。それまでは、幼児というのは明確な自意識というものを持ってはいません。

つまり、動物などと同じ意識状態であると言うことができます。したがって、鏡に映った像を見ても、それを自分であるとは認識しないということです。

ただ不思議な動きをするこの世界を面白おかしく見つめているだけなので、あの無邪気さを持っていることができるわけです。

ところが、3歳を過ぎるあたりから、「ここに自分というものがいる」という意識が芽生えてくるのです。それが、人生で最初に感じる自己否定感の源です。

それまではどこにも自分という存在を意識することはなかったのに、気が付くとそこには傷つきやすくて惨めで、能力のない卑小な自分を発見してしまったのです。

この両者の違いは筆舌に尽くしがたいと言ってもいいと思うのです。しばらくして、子供は急に恥ずかしがるようになったり、無邪気さが影を潜めてしまったりするようになります。

この体験は誰もが一様にするものです。これがなければ、その人は病院に入れられてしまうことになるかもしれません。

とにかく、人間として正常な成長過程として通る道なのです。ではなぜ、人によって自己否定感が大きかったり小さかったりするのでしょうか?

それは、育つ環境が大きく影響するからです。親に十分に受け止めてもらえたと感じれば、それだけ自己肯定感が大きくなり、先ほどの自己否定感を駆逐することができるかもしれません。

またその逆に、受け止めてもらえなかった不満を募らせていると、自己否定感が更に大きくなってしまうのです。

こうして、人生の初めに持ってしまった理由なき自己否定感が払拭されることも、増大してしまうこともあるということが分かります。

いずれにしても、本人にとっては何とも理不尽きまわりない否定感ですから、自分には何の責任もないということを明確にした上で、その感覚とおさらばして欲しいと思います。