今に意識を向ける

先日近くのスーパーに徒歩で買い物に行くときに、スポーティな自転車に乗っている精悍な身体付きの若い男性が追い抜いていきました。

彼は、自転車をこぎながら何やら誰かと大声で話しをしているようで、イヤフォンをしていたので、それでケータイの相手と話し込んでいるものとばかり思っていました。

その彼も同じスーパーで買い物だったようで、私が到着する前にすでに着いていて、スーパーの中を小気味よく歩いていました。

それでびっくりしたのですが、あのイヤフォンはただの音楽を聴くものだと分かったからです。つまり、彼のお話し相手は彼にしか分からない架空の相手のようでした。

店内を足早に歩きながらも、彼はずっとかなり大きな声で見えない相手と話しをし続けていましたので、きっと周りに居合わせていた人はそのことに気づいたはずです。

彼には彼独特のワールドが広がっているのでしょうね。一般的には、それは病的なレベルとみなされてしまうかもしれません。

しかし、よく考えて見ると正常だと思っている私たちであっても、自分の意識は常に今ここにあるわけではなくて、絶えず過去や未来へと飛んで行ってしまっているはずです。

街を歩いていて、ただ自分はこの道を歩いているということにずっと意識を持ち続けられる人は稀かもしれません。

大抵は、何か他のことに思いを向けてしまうのです。昨日会ったあの人の顔だったり、明日までにやらなければならない宿題のことだったり。

私たちは彼のように声を出して、そこには実際にいない相手と話すことはしないかもしれませんが、意識がここにないということにおいては、まったく同じだと気づく必要があるのです。

誰しもが、過去や未来へと意識を飛ばしてしまい、大切な今ここにはいなくなってしまうのですから。この悪い週間に気づいて、なるべく今自分がしていることに意識を向ける練習をすることです。

それができるようになったら、その先に本当の自分の意識で生きるというところへと持っていけるようになるはずだからです。