意識に意識を向ける

趣味というほど、のめり込んでいるわけではないのですが、時々夜空に瞬く星を見るのが好きなのです。望遠鏡は手放してしまったので、もっぱら双眼鏡を使います。

視力が悪いせいもあるのですが、肉眼ではほんの少ししか見ることのできない星が、双眼鏡の威力によって星屑という言葉がぴったりするくらいに、空が星だらけになるのです。それはそれは壮観なのです。

ほんの20~30分だけでも見れたら、とても心が落ち着いていい気分になれるのですが、残念ながらここのところずっと雲が張り出していて、星が隠されてしまっています。

雲が悪い存在ということではないのですが、雲ばかりが続くと「何だかなあ雲の奴」っていう気持ちにもなるのです。それは、ちょうど意識を隠してしまう思考のようなものです。

思考そのものを悪者扱いするのは、まったくのお門違いなのですが、それがあまりにも意識を覆い隠したまま停滞してしまうと、困ったことになってしまうのです。

雲ばかりが主役となってしまい、すべての本質である意識のことを忘れてしまうことになるからです。一日のうち、どのくらい意識のことを意識することができるでしょうか?

物語の中に没入してしまえば、意識のことはどこかへ飛んで行ってしまうはずです。なぜなら、物語自体が思考そのものだからです。

意識だけが物語の外にいることができる唯一のものなのです。思考がこしらえた人生という壮大な物語の中を泳いでいる自分を、意識し続けることです。

意識という「そら」と共に在るなら、どんな物語であろうと寛いで見ていることができるのでしょうね。