自我の特徴の一つとして、自己改善に対する欲望というのがあります。簡単に言えば、より良い自分になりたい!というものです。
これは社会的には良いこととされていますし、そのように教えられて子供は育っていくのです。つまり、向上心を持て!というわけです。
昨日よりも今日、今日よりも明日という具合に、常に上へ上へと登っていくイメージがあります。
出来なかったことが出来るようになると嬉しいものですね。勿論能力だけでなく、人格を向上させるというのもあります。
すぐに怒ってしまう人が、もう決して怒るまいと決意するようなこともあるかもしれません。ところが残念ながら、いつかまた怒ってしまうのですが…。
大人になって、自分のことをよくよく見つめてみて分かるのですが、自分を改善しようと思う欲望にはきりがありません。
そしていつかどこかで、完全に諦めるというときがやってくるのです。トータルな自分をそのままに受け容れるしかないと悟るのです。
そのときに、ようやく心の平安が訪れるのです。どんな戦いもなく、奢りも偽りもなくなって、淡々と生を楽しむことができるようになるのですね。