人生がうまく行ってないという思いを何とかしようと決意してセラピーにいらっしゃるクライアントさんの中には、「自分はもっと頑張れる」という気持ちを強く持っていらっしゃる方が時々います。
過去を思い出して、あの時もっと頑張ることができたはずだと後悔もしていますし、今ももっと頑張れるはずなのにどうしたわけか思うように身体と気力がついてこなくなってしまったと訴えてくるのです。
そして、これからももっと頑張らねばならないので何とかして欲しいと思っているのです。ご本人は、その頑張ってきた結果が今出ているということに気がつかないのです。
ご本人の理屈では、もっと頑張ることができれば現状うまく行ってないこともうまく行くようになるはずだと思っているのです。
しかし、頑張ろうと思えば思うほど、気力が低下して身体がだるくなってしまって以前のように頑張ることができなくなってしまっているのです。
これはちょうど、北風と太陽のお話しに出てくる北風と同じ原理だということに気づけばいいのです。北風は頑張ろうとする気持ちであり、風が強くなればなるほどコートをしっかり押さえることが、自分をそれ以上頑張らせないようにする意識に対応します。
もっと頑張れる、もっと頑張りたいという気持ちを一旦脇に置いて、もう頑張るのはいやだという気持ちがあることに気づくことです。
頑張りたくない自分など認めるわけにはいかないという気持ちも一旦脇へ置いて、ただただこれ以上頑張ることを拒絶している気持ちに耳を傾けることです。
ダメ出しをせずにその正直な気持ちを受け止めてあげるだけで、少し気持ちが穏やかになるはずです。
そしてなぜ頑張りたくないのかをじっくり聞いてあげて理由がはっきりしたら、それを充分に認めてあげることです。
そうすると、頑張ることだけが大切なことではないということに気づくことができます。頑張ること、努力することは人生でとても大事なことですが、そのことだけを追求しても旅人は決して自分からコートを脱ごうとはしてくれないのです。
もしも、自分の心の中にこの「もっと頑張れる」があると自覚できる場合には、その真逆の気持ちをしっかり見つめてあげることです。
そうすることで、人生の路線を切り替えていい方向に向かわすことができるようになるのです。押してもだめなら引いてみようという心の余裕が必要だと思います。