謝ること

もう随分前の事ですが、ある有名な芸能人の男性に道で出くわしたことがありました。その人は私よりも20歳くらい年上ですから、今は70代半ばになっているはずです。

その頃からワインが好きでその人が素敵なワインバーのようなお店を出したという話しをどこかで聞いていつか行って見たいなと思っていたのです。

ですが、今のようにネットですぐに検索して調べられるような時代ではありませんでしたから、本屋さんに行くたびに情報が載ってないかなと探したりしていたときでした。

その人と出くわしたときに、そのことを思い出してお店がどこにあるのか聞こうと思い、「あの~、ワインのお店行きたいと思っていろいろ探したんですけど、なかなか見つけられなくて…」のようなことを言ったと思います。

すると、その人は頭をペコリと下げて、「ごめんなさい!」と言ったのです。私は思わず笑ってしまいました。まさか、謝られるとは思ってもいませんでしたので。

元々気さくでやさしそうな感じがにじみ出ている方でしたので、私も気軽に話しかけられたのだと思いますが、その時ある番組でその人が言っていた言葉を思い出したのです。

「私はすぐ謝っちゃうんです。謝っちゃえばいいんですよ。」この言葉は本当だったんだなあと。そして、この「ごめんなさい」をごく普通に見ず知らずの私に言えるのはすごいなと思いました。

これはシンプルな言葉ですし、簡単そうに思えるのですが、いざとなるとなかなか言えないものです。それだけ、「ごめんなさい」という言葉を言うことに何がしかの抵抗があるということですね。

きっと白旗を揚げることをよしとしていないということです。何か勝負に負けるような気持ちになるからでしょうか。そんなくだらない自己防衛を手放して、気軽に「ごめんなさい」を口に出せるようになりたいものです。

もしも、この「ごめんなさい」を久しく言ってないなあという自覚があるのでしたら、今日から率先して言ってみてはいかがでしょうか?きっと気持ちが楽になってすがすがしい感じがしてくると思います。