日頃クライアントさんのお話しをお聞きしていると、いろいろなことに気づかされます。セラピストというのは、できるだけ丸ごとクライアントさんを理解しようとするものです。
そのためには、クライアントさん自身が自覚している事柄だけではなく、無自覚なことまでも含めて分かろうと努めるのです。
無自覚な事というのは勿論ご本人の潜在意識や無意識といった、通常の意識の下に隠された部分のことを指します。
例えば、朝身体が重くて起きられないで困っているとしたら、起きたくないという気持ちがあるのだなと理解します。
最初から単刀直入にそのことをご本人にお伝えすることは少ないとは思いますが、セラピストの心の中ではそのように解釈するのです。
結婚したいのに、なかなか相手が見つからなくて焦ってしまって、ということでしたら、結婚したくないという気持ちがあるのだなと理解します。
可愛い子供に優しく接したいと思っているのに、時々激しく怒りをぶつけてしまって後悔する、と言う場合であれば、怒りたい気持ちを強く持っているというように見るのです。
つまり、できなくて困っているという場合は、したくないという気持ちが隠されているし、どうしてもしてしまうという場合は、そうしたいという気持ちを隠しもっているということになります。
どうしてこんなことが言えるのかと不思議に感じられるかもしれませんが、人の心というのはそういうものなのです。
勿論ご本人がウソをついているということではありません。自覚している表面意識と意識下で思っていることは正反対である場合が多いのです。
一つの心の上と下で違うことを望んでいるために、困った事態となるということです。心のどの部分でも望んでいないようなことは、決して起きません。
こうした見方を使えば、日常的な自分自身の無自覚な心の部分についても知ることができますので、是非試してみて下さい。隠されていた本心に気づくことができるかもしれません。
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