私達はいつも自分の心が平安で穏やかでいられたらいいのにと思っています。しかし、怒りなどのマイナスな感情を感じた途端に、そんな安らかな気持ちは吹っ飛んでしまいます。
それを避けるために、本当は怒りを感じているはずなのにそれを否定することで、平安のままでいるかのようにしてしまうのです。
そうした作業を自覚を持って行う場合もあるでしょうし、全く自覚ないままにしてしまうこともあるのです。いずれにしても感じているはずの感情を感じないようにするのは心にとっては負担となるのです。
そして感じないままに心の奥にしまわれた感情は消えることなくいつまでも残っているため、それが溜まりすぎてくると何らかの形で表面化してきます。
その時に初めて、自分はきっと今まで感情を我慢し続けてきたのだろうということに気づくことになるのです。
私達はさまざまな方法を使って、怒りを抑圧してしまいます。その一つは、恐怖です。強い恐怖を感じると、怒りは簡単に影を潜めてしまいます。
どんなに怒っていようと、怖さがそれを抑え込んで攻撃的な気持ちをなくしてしまう効果があるのです。
また、自己嫌悪や罪悪感も怒りを抑えます。自分が悪いのだからという思いが強ければ、それだけ相手を攻めようとする気持ちがなくなってしまうのです。
相手のことをかわいそうと感じることも、かなりの力で怒りを抑え付けてしまいます。似た感情として哀れみや場合によっては見下し、蔑みなどの感情も怒りを鎮める力を持っています。
そして最後に、理性による理屈も怒りを抑える効果があります。それは大抵、~だから仕方ないというような考えによって、怒りを感じなくしてしまいます。
このような様々な方法によって怒りを沈静化することになるのですが、それは表面上静かにさせることができるだけで、怒りという感情を消滅させたことにはなりません。
怒りは出来るだけ貯めないように気をつけるべきです。怒りを抑圧する習慣がついてしまっている人の場合には、意識的に怒りを感じるように訓練することです。
上記したような方法を使ってないかどうか、いつも自分の心に注意を向けてあげてることが大切です。そうして怒りとしっかり向き合って味わってあげることで、それを溶かすことができるのです。