子供の頃というのは、比較的素直なままでいられるので、その人の心の奥に潜んでいる様々な欲望を見せてくれるものです。
男の子の場合には、電車の運転手になりたいとか、飛行機のパイロットになりたいなど、乗り物の運転に興味を向けることが多いですね。
私も幼い頃にクルマの運転がしたくて仕方ありませんでした。職業としてという思いは全くなかったのですが、とにかく父親がしていることは自分もしたいのです。
これは実は乗り物というものに興味があるというよりも、そういう大きなものを自分の意のままに操縦することによって、征服欲を満たすという面があるのかもしれません。
小学生のころから、父親の実家にいくと原付のバイクを乗り回していたし、その実家の近くの学校の校庭などでクルマを運転させてもらったりしていました。
自分の身体とは比べ物にならないくらいに頑丈で速いクルマを自由に運転する感覚はその頃の自分にとって何よりも心を満たすものでした。
そうした子供の頃の思いというのは、いつまでも残っているものです。男性のクルマ好きというのは一般的ですし、お金がなくても無理して手に入れようとするくらいに魅力があるのです。
テレビを見なくなった今でも世界最高峰のクルマのレースであるF1の番組だけは見続けているのもそうした思いが残っている証拠だと思います。
しかし、同時にそうした男の子が持っている操縦する魅力、征服する魅力というのはまさしくエゴの本質だということにも気づいています。
エゴは自分の能力を高めていくことに喜びを感じるからです。しかし、これを否定する必要もありません。否定するかわりに、自分の愛で自分の中の子供にそれをさせてあげることを許すということです。
本当に大切なことは愛だということをいつもしっかり忘れずに持っているなら、後は何をしようが構いません。ただ、きっとそのうちに愛ではないことに魅力を感じなくなっていくのだろうと思っています。