おでこの上

ずっと以前にとても面白いテレビCMがありました。それを知っているのは私と同世代の人たちだけだと思いますが。

それはごく平凡な壮年ご夫婦の他愛無い会話なのですが、ご主人が新聞を読もうとして老眼鏡を捜して見つからずに、奥さんに問いかけます。「かあさん、メガネはどこにやった?」

奥さんはあきれるでもなく淡々と、「おでこの上」というのです。確かにご主人はメガネをおでこの上にずりあげていながら、メガネを探していたんですね。

これが何のCMだったのかはまったく覚えていないのですが、その夫婦のなにげないやりとりが何とも微笑ましくて、その時代かなり一世を風靡したコマーシャルだったと思います。

最近気がついたことを思っていたら、突然このCMのことを思い出したのです。それは、今自分が探しているもの、一番欲しているものは自分のすぐそばにあるということ。

そのことに気づいていないということですね。 気づくというのは、すべてにこうしたことが言えるのではないかと思うのです。

日々精進して、努力しても気づけない時は気づけないのですが、ふとしたときに急に気づくことができたりするのですから、気まぐれなものですね。

だからといって日々意欲を持って何かに向き合うことが気づきを得るためには無駄なことだということではないと思います。

ただ、気づきがやってくる時というのは本当に唖然とするくらい突然やってくるということです。毎日見ている風景や会っている人たちなのに、そこにある種の気づきが訪れると、とたんに新鮮な感覚で見聞きすることができるのです。

それはまるで、隠し絵の中に隠れている動物や人物が急に見えてきたときのような、あの感動を覚えるのと似ているかもしれません。

だとすると、これから先についても同じことが起こる可能性が多分にあるということですね。それは常に自分のすぐそばにあるのです。気づかずにこの世を去りたくはないと強く思います。

自分の残された人生の目的とは、それに気づくことだと思っています。そして、それは必ず誰の近くにもあるものに違いないと思います。

なぜなら、それとは本当の自分の姿のことだからです。真の自己とはなんなのか、是非とも知りたいと思いませんか。唯一意味のある質問とは、自分とは誰かということに尽きると思うからです。

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