溺れるものは藁をも掴む、という言葉がありますね。自分の命が危ない危機的場面ですから、そうなるのも当然です。だから、溺れている人を助けに行く場合には、しがみつかれてしまい、両者とも危険な状態になったりするのです。
また、秋田の伝統に「なまはげ」というのがありますね。「なまはげ」がやってきて、幼い子供らを嚇すと、子供たちがお母さんなどに泣きながらしがみく姿がお馴染みです。
個人的には、あの風習は好きではありませんが、それは別として、子供はあまりにも怖いために親にしがみつくのです。つまり、しがみつきとは、防衛に違いありません。
自分がどんな自己防衛をしているのかということを、冷静に見ることはとても大切なことです。なぜなら、自分の自己防衛に気づかぬうちは、それをやめることはできないからです。
あなたは何にしがみついているでしょうか?例えば、絶対に幸せになってやる、と強く思っているとしたら、それはもうしがみつきなのです。
しがみつくという防衛は、溺れる人の例でも言いましたが、せっかく助かるチャンスを逆に台無しにしてしまう可能性もあるのです。
つまり、何かにしがみつくと、その真反対がやってくる可能性が高くなるということです。したがって、絶対に幸せになると思っているなら、不幸が忍び寄ってくるということです。
かつては暴力的だった親のようには決してならない、と幼いころに決意したとしたら、絶対に怒らないということにしがみついていることになるのです。
そうしたら、その真反対である怒りを沢山溜め込んでしまい、いずれはその怒りが爆発することになるかもしれません。爆発しなくとも、常にイライラしている状態がやってくるはずです。
自分は性的な不純なことから離れている、考えもしないようにするとしたら、その人はいずれ必ず性的な妄想に悩まされるか、性的倒錯者になったりするのです。
しがみつきとは、極端な状態を維持しようとすることです。それも強烈なまでに。それは、いつか必ず真反対の極端を招くことになるということです。
どんな自己防衛にも言えることですが、しがみつきも、その効果はその一瞬だけであって、いずれはその逆がやってくることを覚えておくことですね。