セッションに訪れるクライアントさんの多くが、心の中に漠然とした不安を感じているのです。そして、その不安は物心がついたときからずっと続いているのです。
ある程度気楽な学生時代から、社会人になると、それなりの責任の重みを感じるようになって、より強い不安感を抱くようになってしまうという場合もあるでしょうね。
自分はそれほど不安を感じないで生きているという人もいるかもしれませんが、実はそういう人の場合であっても心の奥には不安が必ず沈殿しているのです。
不安を強く感じるかどうかというのは、幼い頃に家庭内で安心させてもらうチャンスに恵まれたかどうかということが一つ大きく関わっているのも事実です。
しっかりと気持ちをうけとめてもらえていれば、自分という存在はこれでいいのだというドシッとした安心感を得ることもできるし、逆に何かと否定されたり気持ちを分かってもらえない状態が続けば、不安は増大するのです。
けれども、どんな境遇で育とうと、その人がどんな感覚で生きていようと、誰にも共通して不安はあるのです。その不安がどこからやってくるのかを理解すれば、その理由は明白です。
それは、全体として生まれてきたはずが、数年後には個人として生きて行く羽目になってしまうからです。幼い子供が、自分以外はすべて外側の世界だと認識してしまうのですから、それはとてつもなく不安になるはずなのです。
こうした存在の本質に関連した大元の不安と、より成長していく段階でやってくる種々の不安とがあり、私たちは自然とその不安から遠ざかりたいと思うようになり、つまり安心を求めるようになるのです。
そして、安心を求めれば求めるほど、間違いなく100%安心は遠のき、不安が居座ることになってしまうのです。なぜなら、不安を拒絶して安心にしがみつこうとする、そのエネルギー自体が不安そのものだからですね。
不安が消えるには、不安を敵対視せず、不安から遠ざかろうともせずに、不安の中にいてそれをしっかり感じることなのです。不安とともにいることを、そのままに受け止めれば不安は消えずとも小さくなっていくのです。
そしてあなたが、瞑想によって自分の本質へと近づくことができるなら、そこにはどんな不安も寄り付かなくなるはずなのです。不安を生み出す正体は、身体やマインドとの同化にあるからです。