一口に催眠療法(ヒプノセラピー)と言っても、大きく分けて暗示療法的なものと退行催眠との二つに分類されます。暗示療法というのは、ご存じのとおり、催眠状態において暗示を与えてある問題を解決するというものです。
私の経験では、例えば飛行機に乗るときに、非常に緊張してしまって旅行が台無しになってしまうので、それを何とかしたいというものとか、学生になっても学校で行われる注射が怖くて、激しい心労に見舞われるなど…。
それぞれに、ご本人でないと本当の苦しみは分からないような、繊細な問題が多いのです。催眠状態において繰り返し暗示を与えることで、それが潜在意識の中にある程度浸透していくのです。
そうやって、一時的に症状を緩和することによって、実体験でいい印象を持つと、次第に自信がついていき、結果として問題を克服できるようになるということです。
一方、退行催眠については、年齢退行と過去生(前世)退行という二種類があります。年齢退行は、今生の過去に時間を戻して再体験するのです。
そして勿論過去世退行の方は、いわゆるあなたの魂と呼ばれるものが生きた、過去の人生を再体験するというものです。
どちらも、キーとなるのは単に思い出すというよりは、再体験するということ。この違いを理解して欲しいのです。つまり、思い出すのは現在の自分が過去の記憶を思い出すということであり、再体験とは今の自分が過去の自分になったうえで、その時代の生を再体験するということです。
なぜそんなことができるのかというと、実はあなたのマインドの中にはその時々のあなたがそのまま残っているのです。あなたが何をしたかという記憶だけでなく、その時のあなた自身のマインド自体が残っていると思えばいいのです。
ただし、催眠状態になったとしても、あなたのマインドの中に、見てはいけないという強烈なブレーキがあるなら、それを乗り越えて過去を再体験することはできません。
たとえば、どうしても過去生を見たいと望んでいらっしゃるクライアントさんであっても、ご本人のマインドの奥深くにそれを見ることを許さないブレーキがあると、残念ながら見ることは叶わないのです。
単にうっすらと思い出すというレベルであれば、それほど問題なく見ることができるとしても、真に再体験するとなると、実は相当の覚悟が必要となります。
なぜなら、忘れて葬り去りたいと願っていた忌まわしい過去を再体験してしまうということもあるからです。あなたが、真の意味で過去生を再体験するなら、あなたはきっと死の恐怖から解放されることになるでしょうね。