幼少期の頃からずっと、「親は絶対」という感覚とともに成長してきた人がいます。ご本人としては、あまりにも当たり前のことなので、別に特別なこととは感じていないことが多いのです。
勿論、社会人になったりして、多くの人との交流を経て、親が絶対的なものではないということを知識として知るようにはなるのですが、心の奥底には残ってしまうのです。
言葉を変えれば、それはある種の洗脳とも言えるのです。なぜなら、「親は絶対」という思いは自動的に出来上がるものではなく、親がそのようにコントロールした結果だからです。
そうした洗脳は、心の癒しの妨害となるのは明らかなことです。間違った信念が、その人の内面を歪めてしまうために、何等かの悪影響が出て来るのです。
親への絶対視は、そもそも存在はみんな同等なものであるという自然な感覚を阻害してしまうのです。つまり、他人に対して、見上げるか、その反対の見下すかしかできなくなるということです。
また、自分以外のものを絶対視するわけですから、それを自分の基軸としてしまうために、自分自身の背骨のようなものが育ちにくいという重大な欠点が出て来るのです。
それは常に心の底流に不安を沈殿させることになり、不安を安心に変えようとしてひどく自己防衛をし続けることにも繋がるのです。
親への絶対視があると、それが強ければそれだけ癒しは長くかかるということを示しています。もしも、そうした自覚があるのであれば、その部分をいつも見てあげて、それがどのように自分を支配しようとするのかに気づいていることです。
この世界に絶対的なものは、何ひとつ存在しないということも肝に据えることが大切ですね。