起きていることをただ受け容れる

昔々ある村に素晴らしい馬を飼っている爺さんがいました。村人たちは、爺さんがその馬を持っていることを、とても幸運なことだと言っていたのですが、爺さんはただその馬がいるだけだと言っていたのです。

その馬の噂を聞きつけた王様が、破格のお金でその馬を買い取りたいと言ってきた時、爺さんはきっぱりと断ったのでした。それを聞いた村人たちは何てバカなことをするんだと言いました。

そんな幸運なことを断るなんてと…。でも爺さんは別に幸運なことではないと、馬は大切な家族だからどれほど高額でも売るなんてできないと言ったのです。

そんなある日、その馬が突然逃げてしまったのです。それを見た村人は、ほら見たことか、王様の申し出を断ったから、こんな不運がやってきたのだと言いました。

けれども、爺さんは別にただ馬が逃げただけだからと言ったのです。ところが、数日して、その馬が他の野生の馬を10頭も連れて帰ってきたのです。

それを見た村人たちは、なんと幸運なことがあるんだと言ったのですが、爺さんはそれについてもただ馬が馬を連れて戻っただけだからと言ったのです。

野生の馬を馴らそうと、爺さんの息子が馬に乗って調教しているときに、落馬して足の骨を折ってしまったのですが、村人はそれを見てなんて不運なんだと言ったのです。

勿論その時も爺さんは、ただ息子が足の骨を折っただけだからと言ったのです。その頃、国が戦争を起こして、その村の若者もみんな徴兵されてしまったのですが、爺さんの息子だけは足を骨折してたために、戦争に行かずに済んだのです。

それを見た村びとたちは、口々に幸運なこともあるもんだと言ったのですが、爺さんはそのこともただそういう成り行きになっただけだと言ったのです。

そして、この話しはこのようにして延々と続くのです。もう分かりましたよね?何が起ころうと、それはただ起きているだけで、爺さんのように淡々と受け容れていることができるなら、この世界に憂うことなどないということです。

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