バルドの言葉 ~死にゆく人へ~
『さあ、静かにしなさい。意識してこの生を離れなさい。
死によって生を奪われるのではなく、むしろ掴んでいる手を緩めなさい。
死に打ちのめされてはならない。闘ってはならない。
ただ、自分の執着をすべて捨てなさい。あなたにとって、この世は終わった。
この生涯は、あなたにとっては終わった。それにしがみついても意味はない。
それにしがみつけば、死を相手に闘うことになる。あなたに勝ち目はない。
しかも、ある非常に重要な可能性を見逃すことになる。
自分の中に起こって来ることすべてを、ただそのままに任せなさい。
くつろいで敵意など抱かずに、死を生の頂点として、自然な現象として受け入れなさい。
それは何一つ終わらせはしない。
意識を持ち続け、起こっていることを見ていなさい。
肉体が、ますます自分から離れて行く様子を、あたかも鏡が倒れて
粉々に砕けて行くように、マインドが剥がれ落ち、バラバラになって行くさまを、
自分の感情、自分の情感、気分、自分の生を形作っていたものすべてが、
消えゆくようすを見ていなさい』