癒しにとって最も必要なことは、過去を終わらせるということです。ということは、裏を返せば、過去が終わっていないといろいろ不具合が出るということです。
この「過去が終わっていない」とは、いったいどういうことかというと、その時々に思い切り生きてこなかったことがあるということです。
十全に生きることができれば、過去は残らずに明日へと向かえるのですが、我慢をしたり気を使ったりして十分に自分のままでいられないでいると、過去は生き残り続けてしまうのです。
まだ無邪気な幼い子供は、泣くときは思い切り全身を使って泣くし、怒るときも全力で怒りを表現するのですが、あの状態であれば、過去は残りません。
これはちょうど若い力士が、大関や横綱の胸を借りて、持っているありったけの力を使ってぶつかっていくのに似ています。
力の限りを使ってぶつかっていくからこそ、最大の練習の効果が出るわけです。子供もまったく同じようにして、我慢や気を遣うことなく、全力で親にぶつかっていくなら、過去は残らないのです。
その逆に、親が不安や怒りのエネルギーをまとっていたりすると、小さいながらも無邪気さを使うことができずに、生殺しのように生きれば、その分だけ過去のエネルギーは残り続けてしまうのです。
過去を終わらせるとは、そうした残存エネルギーを味わって消滅させるということを意味します。そのようにして癒しを進めていけば、過去のエネルギーが現在の自分をコントロールすることもなくなるのです。
何だか生きづらいと感じることがあるのなら、このような癒しを進めていく必要があるということですね。一人でするのが難しい場合には、セラピストの力を借りるのも一つの手だと思います。