私たちがその瞬間を全的に生きるならば、その瞬間の自分のエネルギーが完全に消費されて、残ることはありません。燃えカスが残らないということですね。
勿論、過去の記憶はちゃんと残るのですが、そこにどんなエネルギーも残存してはいないということです。つまり、その一瞬ごとに死ぬということです。
生き延びるエネルギーが何もないのですから、しっかりと生きて次の瞬間に向かう直前で死ぬということです。そうすれば、過去は完全に消え失せ、過去に引きずられることもなくなるのです。
今この瞬間には、過去などというものはどこにも存在しないのですが、過去に燃え残ってしまったエネルギーは残ることがあるということです。
幼い頃に無邪気に生きていたときには、きっと完全燃焼に近い状態であったはずなのですが、自分のままではいけないのだという思いの発生とともに、多くの燃えカスを残しながら生きることになるのです。
それが我々の現実なのです。そして、そのような残存してしまった過去のエネルギーを総称して、インナーチャイルドなどと呼ぶわけです。
燃え残ったエネルギーは、何もしなければ永遠にそのままありつづけます。それがエネルギーの本性だからです。そして、いつかはあなたの現在の人生を攻撃してくることになるのです。
心の癒しとは、その過去のエネルギーを燃やして気持ちよく死なせてやることなのです。そのためには、過去を単に思い出すだけではダメなのです。
過去を再体験することが必要となるのです。現在のあなたが、過去の自分に戻って過去を再度生きることによって、残っていたエネルギーを燃焼するということです。そのための一つの方法が、催眠療法ということなのです。
エネルギーとは抑圧された感情を意味するのです。過去に残してきたエネルギーが小さくなればなるほど、あなたは今この瞬間に腰を据えて生きることを妨害されなくなるのです。
恐怖や怒りといった感情のエネルギーが小さくなれば、あなたはそれだけ無防備になっていくはずです。無防備になればなるほど、思考は止まり、それだけ全的に生きることができるようになるのです。