真の癒しとは、自分とは本当はナニモノなのかということに気づくことであって、それ以外のどんなことでもありません。そのためには、誕生してからやってきてしまったあらゆる思い込みを、手放していく必要があるのです。
つまり、生まれた時のようなまっさらな状態へと戻ることです。ただし、意識的であることを伴って。そのためには、どのようにして自分を認識するようになったのかを、遡って見ることです。
幼児期に、私たちは周りの家族から名前を呼ばれて、それを自分とくっつける作業を自動的に行うのですが、そのときに利用されるのが肉体というわけです。
もしも肉体がなかったならば、何度指さされてこれがあなたなのだと教えられたとしても、どこを見ればいいのかさえ分からなかったはずだからです。
そして、呼ばれた名前と常に身近に見えるこの肉体とを関連づけることによって、ようやく家族の中で上手に生きて行くことができるようになるのです。
もしも、この肉体を自分と同化することができなければ、その子供はそれ以降この社会の中で生きて行くことは相当に難しくなったはずですね。
だから、誰にとっても名前によってラベル付けされた自分と肉体を同一視することは、実は死活問題だったというわけです。そのせいで、この同一視、身体との同化はその後一切気づくことができなくなったのです。
単なる耳情報ではなく、自らの体験として身体との同化に気づくことができなければ、自分とは本当はナニモノなのかということにも気づくことはできません。
身体との同化を見破るためには、身体とのズレ、身体との距離を体験する必要があるのです。それが瞑想というわけです。
瞑想によって、身体に与えていたあらゆるエネルギーを内側へと引き戻すことで、身体はリラックスしてあたかもでくの坊のようになったと感じることができるのです。
そのとき、それをただ見ている存在としての自分に気づくのですね。