何でもエジプトには、次のような諺があるそうです。
「弟子に準備ができれば師が現れる」。
ああ、そういうことか。この年齢になる今になっても、私には一向に師が現れていないのです。
ということは、それは運命を恨むのではなく、私自身がその準備が万端整っていないということの証しだということですね。なんだか納得してしまいました。
自分にも師と呼べる存在が欲しいとずっと思っていたのですが、それは見当違いだったということが分かっただけでも、よかったと思っています。
じゃあ、その準備を整えるためにはどうすればいいのかということですが、そのことをちょうど言い表している一つの俳句のようなものがあるのです。それは…、
「黙って座って、何もせずにいると、春が来て草はひとりでに生える」
というものです。春が来てほしいからと言って、強引にここに来させることは不可能ですね。
ただ自分にできることをして、待つということです。それ以外のことは、すべてが邪魔になるだけだからです。春はいつか必ず来るものです。それを待てばいいのです。
黙って座って何もせずに…、瞑想を「する」というのもマインドの働きです。何もせずにいるということを、これまでどれだけ嫌がってきたのか、実際に何もせずにいると分かってくるものです。
何もせずにいるなら、その人は無能な怠け者になってしまうと恐れているからかもしれません。そして、もしも無能な怠け者になったとしても、それでもいいのです。
逆にその見返りは、途方もなく大きなものだからです。これは、実践しなければ決して分かることではありません。そして、いつかはきっと春はやってきてくれるのですから。