誰でも心の中に少なからず不安を持っているものです。その不安というのは、すべてが幼い子供の頃に出来上がってしまったものです。
その不安感はよほどのことでもない限り、大人になるまでずっと心の中に燻ったままになってしまいます。そして、不安な心は、安心を強く求めるのです。
そうした心を持ったまま結婚して子供の親になると、親自身の不安を安心に変えるために子供を利用しようとしてしまいます。
勿論親自身がそのことに気づいているわけではありませんが、何とかして自分の不安感を解消しようと子供にその役を背負わせてしまいます。
具体的には、子供を親の言いなりにさせようとするということです。親にとって、気に入らないことをさせないように、子供をコントロールしようとします。
そのためには、親は子供の心の恐怖心や罪悪感をとことん利用するのです。子供が否定的なことを言おうものなら、悲しそうな顔をしてみたり。
残念そうに、あなたのために言っているのだから、といったニュアンスで子供を責めることもするかもしれません。
子供にとって一番苦しいのは、見捨てられる恐怖を味わうことです。親はそれを使うことで、子供を自由に操ることができるのです。
そして、悲しげな親の様子ほど、子供の心を罪悪感で埋め尽くすものはありません。そうなると、恐怖と罪悪感に勝てる子供など一人もいないのです。
子供は、しぶしぶ親の言いなりになってしまうのです。そのように育ってしまった人は、大人になっても自己表現などまったくできなくなってしまいます。
代わりに、自分への駄目出しが心を満たし、その結果駄目ではない自分を作ろうとして頑張り、その分だけ自己犠牲の餌食になってしまうのです。
そうなると、何のための人生なのか、まったく分からなくなってしまうはずです。親の不安感が子供の人生を台無しにするという現実を、しっかり見る必要があると思います。
心当たりのある人は、幼い頃に作ってしまった、しつこい罪悪感、あるいは自己否定感を、まったく不当なものとして手放すように務めることです。