私達の心の中には、意識しているかどうかは別として、自分を行動させる意識とその自分を監視している意識とがあります。
カラオケに行って、大好きな歌を歌わせている意識と、上手に歌えているかなと監視している意識があるということです。
自分の意識を大きく分けるとこのように二つの意識に大別することができます。この二つの意識が二人三脚のようにバランスを取りながら生活しているわけです。
この自分を監視する意識というのは、きっと三歳くらいから生まれて年齢と共に次第に成長していくのですが、その教師となるのが親などの周りにいる大人なのです。
幼い子供にとって親に叱られたり注意されたりした経験、あるいはちょっとした親の心の変化などを敏感に感じ取ったりして、そういった一つひとつの経験が自分への評価だと見るのです。
そしてそういった積み重ねをもとにして、自分を監視する意識というものが出来上がるのです。親の自分への態度がいいにつけ、悪いにつけそうした意識のもとを作るわけです。
従って、親からの干渉がとても大きかった場合や、いつも口うるさく注意されていたような場合には、それに比例して自分を監視する意識も大きくなる傾向にあります。
そうしていつも自分の言動を厳しい目で監視して、作り上げてきたルールを守らそうとするのです。ですから、自由を感じづらい、束縛感の強い人生になりがちです。
大人になって親から離れて、精神的にも独立していると思っても、すでに自分の心の中にそういった親二世とも言える監視役ができてしまっているため、いつも何となく居心地が悪いのです。
こういった場合の解決策は、まず自分を監視する意識の存在をはっきりと自覚することです。そうしておいて、その意識の気持ち、思いを充分に受け止めて認めてあげることです。
そうすると、なぜそんな監視役が必要になってしまったかということが分かってきます。それを感情と共に洗い流してしまいましょう。
そうやって少しずつ、監視する意識から解き放たれていくことができます。この監視役はいなくなることはありません。
その代わり上手に付き合っていくことで利用価値のある大切な意識として共に生きていくことができるようになります。
自分の人生に自由を感じられない、何となく縛られている感じがする、どうも無邪気に何かをすることができない、と言う場合には監視役との関係を見直すことが大切なのです。