人と話しをしているときには、相手の話に合わせて相槌を打ったり、ちょうどいいタイミングで次の話を促してみたり、様々なことをして会話がスムーズに行えるようにします。
それが礼儀ですし、その方が自分も気分がいいのです。特に相手のことを考慮してするだけではなくて、自分にとっても相手との関係をよくするという利点があるわけです。
相手が何かを話しても、応答せずに黙っていたり、何を考えているのか分からない感じでじっと相手が話すのを聞いているというのでは、いい気持ちでコミュニケーションをすることができなくなってしまいます。
大人同士、そうした違和感をできるだけ互いに感じあわないようにしようと自然と努めるのが常識的な会話の方法ですね。
ところが、催眠療法の中でクライアントさんと会話するときには、かなり様子が違ってくることがあるのです。
まずセラピスト側の質問やちょっとした問いかけに対して、通常の反応をしなくなってしまう場合がかなりあります。
なかなか相槌を打ってくれなくなってしまったり、質問をしても答えてくれるまでに途方もない時間がかかってしまったりということがあります。
また勝手に話しの内容を中断されて、違う場面や違う内容の話しに飛んでしまうといったことも起こってきます。
きっと、催眠の中では幼い意識になってしまっていたりして、通常の大人としての会話をしている相手への配慮というものが欠けてしまうからなのでしょう。
セラピストは決められた時間の中で、できるだけクライアントさんの癒しを進めようとするために、この応答の鈍さが苦痛に感じてしまう場合があります。
そんなときには、相手に対して自分のペースに合わせてもらいたいと思ってしまう自分のエゴを認めて、相手を自由に解放してあげられるような心の余裕を持ちたいものだと思います。