親は絶対的存在という洗脳

クライアントさんの中には、子供の頃親の言うことは絶対だと信じていたという人が意外に多いのです。親の正しさというものの配下に自分がいたというイメージです。

ある意味、親は神様のような存在だったということかもしれません。それは実は、子供本人の気質にも関係ありますが、親の子供への対応の仕方がより強く影響していると言えると思います。

つまり、親自身が正しさというものを大事にする生き方をしている場合、当然のごとく親はいつも正しいのだという信念が子供へと伝播してしまうのです。

だからこそ、親はその正しさと共に子供にとっては絶対的な存在として君臨することになります。それは当然のことながら、無邪気に逆らったりすることが出来にくくなります。

しかし、子供は子供ですから、やはり親の言いなりにはなりたくないのが本音ですね。必ず親と子供とは意見や気持ちが異なるはずです。

そうした事態がやってきたときに、子供は自分の気持ちを受け入れて欲しいのに、親の正しさでそれを突き放されてしまうことになります。

それは言葉を変えると、親の正しさによって自分が裁かれたということになるのです。結局、裁かれた数だけ、子供は自己否定感を積んでいくことになってしまうのです。

親は愛情を込めて、正しさを子供に教えようと一生懸命になるのですが、それが子供からすると、受け入れてもらえずに裁かれたという印象をためていくことになってしまうということです。

結局、親は絶対だと信じて育ってきた人は、必ず強い自己否定感を持ってしまうことになるのです。これはもう必ずそうなると断言できます。

そして大人になって癒しを進めるうちに、自分は親から丸ごと受け止めてもらえたという記憶がほとんどないということに気づくことになります。

だから、大人になっても親から受け止めて欲しいという思いが強く残っているということがわかるようになります。

ところが、そのことをすぐには認めることが難しいのです。なぜなら、それを認めることは親の正しさを否定することになるような気がしてしまうからです。

そしてもう一つの理由は、それを心底認めてしまったら、親に従ってきたゆえの自己犠牲に気が付いてしまい、溜め込んできた怒りを爆発させることになると、どこかで分かっているからです。

正しさとは恐怖が底にあるのです。逆に、愛は受け入れるのです。つまり、愛を持って子供に接することができる親は、正しさを教える代わりに子供を受容することができるのです。