たまに、誰とでも仲よくしなければいけないと思っている人がいます。そういう人に、私がそんな必要はないですよと言うと、目を丸くしてびっくりしてしまいます。
そういう人は、誰かのことを嫌ってはいけないとも思っているようです。選り好みをせずに、どんな人ともうまくやっていくことが大切なのだというわけです。
でも本当にそうでしょうか?それは、心の底からそうありたいと願っていて、そうできるのであればいいのですが、本心は違うところにあるかもしれません。
ある人やあるものに対して、好き嫌いの感覚を持つことは決して悪いことではありません。問題は、何かを嫌うことがいけないことだとの思い込みです。
嫌いというと角が立つというなら、好みではないと言い換えればいいだけです。もしも、それを否定してしまったら、それこそパートナーは誰でもいいということになってしまいます。
玉子焼きは好きだけれど、トマトは嫌いというのは自分の素直な気持ちです。出されたものの好き嫌いを言わずに何でもおいしいと思って食べられたら、それに越したことはありません。
しかし、それはただの理想であって、人として生きている限りは、どんなものに対しても好んだり嫌ったりすることはごく当たり前のことです。
そうした中に、その人の個性があるわけですから、それを否定する必要などまったくありません。逆に、嫌いという気持ちを抑えることなく、自分に対してはっきりさせることの方がどれだけ大切なことか。
極端なことを言えば、他人を騙しても(悪意がなければ)いいですが、自分自身を騙してしまうと、後で大変な心の痛手を負うことになってしまうのです。
なぜなら、騙された状態であっても、本心そのものがなくなるわけではないため、嫌いなものを好きに違いないなどとやっていれば、当然のことながら自己犠牲が溜まって行くわけです。
これは危険なことですね。好きも嫌いも同じように大切な本人の感性からくるものです。嫌いは決して否定ではないということを知ることですね。
誰かと仲良くしなければと思えば思うほど、人間関係はうまくいかなくなってしまうし、労力を沢山使うことになって面倒くさくなってしまうはずです。
自分の気持ちに素直でいることが、もっとも人間関係を円滑にするコツなのです。あるがままの自分をなるべく認めることですね。