開かずの部屋

誰もが自分の心の中に、決して入ってはいけない部屋を持っています。そこは、見るからに近寄ることさえはばかれる、何とも恐ろしげな部屋なのです。

物心ついた頃にはもうすでにその部屋はあって、周りの人からも決してそこに入ってはならないと釘を刺されているのです。

例えて言えば、その部屋には呪いがかけられているといった感じで、万が一入ってしまったらそこには魔物が潜んでいて、全身に針を千本刺されてしまうかもしれないのです。

幼いながらも、そこへは決して入らないと決心するのですが、その部屋の前を歩く度に薄気味悪い感じがして、なるべく遠くにいて離れていたいと思うほどです。

気が付けば、その部屋には頑丈な鍵がガッチリとかけられて、その部屋から遠くへ遠くへ行こうとすることが、人生の一つの目的にさえなってしまうのです。

多くの人が、大人になった今でもその部屋には入ったことがありませんし、場合によってはそんな部屋があるということ自体気づいていないのかもしれません。

しかし、そのおかげで本人の人生の中に沢山の苦悩や否定的な物事が起こることになるのです。つまり、その部屋の中のことが投影されて出てくるのです。

みなさんは、その部屋の中には一体何が隠されていると思いますか?それは勿論、本人にとって最も見たくない自分の姿、あるいは出会いたくない痛みの数々が残されているのです。

そして、気づかなければならないことは、その部屋から遠ざかろうとすることが、実は人生の苦しみを作り出していたということです。

どんなに遠くに走っていこうが、その部屋はずっとあなたについてまわります。まるで影のように、どれだけ早く走っても、歩いても、いつもぴったりとあなたを追ってくるのです。

逃げれば逃げるほど、あなたの苦しみは募るばかり。それこそが、あなたの人生のストーリーになっているということにも気づかなければなりません。

つづく