私にとって、最も難しくてかつ最も人生そのものになっていること、それが自己想起です。グルジェフが言っていた自己想起とは、自分に気づいている状態のことです。
実践したことがなければ、それがそんなに難しいことだとは気づけないはずです。朝目覚めてから夜眠りに就くまで、できるだけ自分自身に気づいているようにすることは、とても難しいことなのです。
なぜなら、私たちは自分の周囲に起きている様々な出来事に気を取られて生活しているからです。気を取られてもいいのですが、それが100%になってしまうのです。
もしもそれが90%だったり80%であるなら、残りの少しだけでも自己想起に使えるはずなのですが、そうはなかなかいかないのが実情です。
周りで何が起きているかということに意識が向くこともあるし、自分が直接体験していることに意識が向くこともあるのですが、自己想起とはその体験者に意識を向けることなのです。
自己想起の素晴らしいところは、自己改善というエゴの欲望から離れて行くことになるからなのです。自分を変えようとするその自分に気づいていること。
また、自己想起が特に難しいと感じるのは、何等かの苦痛がやってきたときです。クセですぐに自己想起し続けようとするのですが、苦しさが大きければそれだけ自己想起は明らかに邪魔されます。
そういった余裕がなくなった時にこそ、自己想起の練習をするチャンスなのだと分かってはいるのですが、自己想起されてる側の自分だけになってしまうのが分かるのです。
人生何をしていいか分からないという人、何をしたいのかも分からずに苦しんでいるなら、この自己想起をお勧めします。なぜなら、いついかなるときにでも、お金も時間も労力も必要とせずに練習できるからです。
そして、その練習によって、意識的に生きることができるようになれば、最期のときに意識的なままでいられるようになり、その場合には次の人生が最後となるはずです。