今あなたがどこかへ行きたいと思ったとします。その行き先がどこであろうと、あなたが今いる場所から歩きださなければなりませんね。
今立っている場所を無視して、違う場所から歩き出すなどということは不可能なことです。ある部屋の中にいて、その部屋にいるのがとても嫌になったとします。
それでも、その部屋から出ようとしたら、その部屋の中を歩いてドアのところまで行かなければなりません。その部屋がどれほどイヤでも、その部屋の床を歩く必要があるということです。
つまり、そのイヤな部屋の空間を利用する必要があるのです。内面の癒しにもこれと似たようなことが言えるのです。もしもあなたが、癒しを妨害するようなことを信じているのなら、それを無視して癒しを進めることはできません。
癒しの究極の目的は、エゴが消えて行くようにしていくことですが、そのエゴのど真ん中にいる限りは、そのエゴを最大限利用するしか、方法はないのです。
エゴを徹底的に利用することから癒しを始めるのは、そうした理由があるということです。たとえば、人生と闘ってきた人には、その闘う能力を利用して、癒しを進めていくのです。
その人の得意分野をうまく利用することができるなら、癒しは最初のフェーズではきっと成功するはずです。なぜなら、クライアントさんはその道の達人だからです。
そうやって、癒しを進めて行きながら、少しずつ不得意分野についても受け容れていけるようにと促すのです。その時に初めて、それまでとは全く異なる真の癒しへと路線を変えて行くことになるのです。
そのような移行がスムーズにできるようにと、手助けするのもセラピストの仕事の一つだと思っています。なぜなら、その時に大きな抵抗がクライアントさんの深いところからやってくるからです。