思考の煙幕が晴れたら

私たちは、実存の中にいるのに、そこにいることができずにいます。実存というのは、過去や未来ではなく、たった今この瞬間のこと。

今というのを言葉や概念化してしまうことになったのも、過去や未来という実際には存在しないものをでっち上げてしまったからです。

人間はありたがいことに、ほんの少しだけ意識的であることができるようになったのですが、それを真に利用しているわけではないのです。

すぐに思考の中へと入っていって、過去や未来という妄想の煙幕が張り出して、それに包まれてしまうのです。

要するに、煙に巻かれている状態なのです。煙にまかれたなら、本当に存在するものを何も見ることができなくて当然なのです。

それでも実存の中からどこかへ行ってしまったわけではなく、煙が晴れてきたら自動的に回りに在るものが見えるようになるのです。

それは一度もどこかへ行ってしまったわけではなかったのですから。今在るものがそのままに見えるようになったら、今度はあなたは至福に包まれることになるのですね。

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