私たちは、知らず知らずのうちにあらゆる物事を決めつけてしまう習慣を持っています。私はこういう人間だとか、あなたの人生はこうだとか…。
そうした決めつけがどこから来るかというと、これもやはり自己防衛から起きて来ることなのです。なぜなら、未知のものは不安や恐怖の元になるからです。
知っているものは知らないものよりも安心なのです。だからこそ、本当は何も知らないくせに、知っていることにしようとするのです。それが決めつけなのです。
勝手にこうだと決めつけて仕舞えば、それは既知のものだと思えるからです。こうした防衛は、実は幼い頃からすでに始まっているのです。
向こうからやって来るおじさんがいい人なのか悪い人なのか、分かっていた方がより安全なので、どちらかに決めてしまうのです。いい人なら心を開き、悪い人なら閉じてしまう。
そうやって身の安全を守ろうとするのです。そしてその習慣が大人になった今でも残ってしまうというわけです。本当は、一人のおじさんの中にいい人の部分と悪い人の部分の両方があるのです。
この決めつけは、過去のどこかの時点で行ったものですが、それを後生大事に使い続けてしまうと、今この瞬間の現実から乖離してしまう恐れが出てきます。
それは当然のことで、この世界の全ては刻々と変化し続けているからです。昨日までの自分と今日の自分はもうすでに違っているのに、自分はこういう奴と決めつけてしまえば、過去に閉じ込められた硬直した自分だけが残ることになります。
それではどんな成長も望むことはできなくなってしまうのは当然ですね。まずは、自分の決めつけに瞬間瞬間気づいてあげることです。
そうして過去からやって来る決めつけを見守ってあげることで、次第に素直な目でナマの物事を見ることができるようになるのです。