大人になってから、ふとしたときに自分が子供であった頃の気持ちをすっかり忘れてしまっていると気づくときがあります。
それは街でなにげなく見ず知らずの子供の態度を見ているときなどに、何かが蘇ってくるような感覚になったり、独りでいるときでも何かの過去の気持ちがあがってきたりするのです。
私達は年齢とともに勝手に子供から大人になっていくと思っていますが、実は多くの経験を積むなかで、自覚の大小はともかくとして自分で自分を大人に仕立て上げていくのです。
決して自動的に大人の意識に変貌するわけではないのです。つまり、大人の自分とは必要に迫られて子供の自分が作りこんだモノだとも言えるのです。
分かりやすく表現すれば、子供の自分が大人の自分を着込んでいるということです。単に大人である自分に慣れ親しんでしまっただけで、自分の中心には子供の頃の自分が隠れているのです。
心の癒しを実践していると、そうした子供の頃の自分がしっかりいるなということをつくづく感じてしまいます。
特に自分を防衛しなければならないという気持ちが強くなったときには、その部分を明確に感じることができます。
私の場合には、駄々をこねている幼い男の子が見えます。実はとても恥ずかしがりやだし、寂しがりやだし、それでいて駄々っ子のような、なかなか気難しい子供です。
大人の自分が無理をしたりして、無意識のうちに防衛する方向に心が向かうと、すかさずその子が出てきて駄々をこね出すのです。
場合によっては身体の具合を悪くすることもありますし、周りの人に対して攻撃的になって自分の気持ちを訴えたい欲求が出てきます。
最近では、そんなときには自分の奥にいる駄々っ子の男の子をしっかり受け止めてあげるようにしています。
うまくできたときには、身体の具合は快方に向かいますし、攻撃的ないやな気持ちもふっと消えていってくれるのです。
自分が何となく今大人気ないなと感じたり、急に具合が悪くなってしまったときには、試してみて下さい。きっと短い時間で大人の自分を取り戻すことができるはずです。