私達は目覚めている時、つまり意識を持って生活している間は自分の外側に何事かが起きているということを把握しながら、自分の心の反応をも感じています。
自分という存在の外側を外的世界と呼び、誰にも分からない自分だけの心の中のことを内的世界と呼ぶことにします。
私はこの仕事をするようになって、外的世界で何が起きているかということよりも、内的世界のことにいつも意識を向けるように自然となってしまいました。
その理由は、外的世界と内的世界の一番大きな違いについて考えてみれば容易に理解していただけるはずです。
それは外的世界というのは、何かが現象として起こり、我々はそこで何か問題となることを認識すると、それを解決しようとするのです。
その解決方法としては、人一倍努力してみたり人のアドバイスに従ってみたりしますね。そうして、最終的に物理的に解決することこそが目的となるのです。
それに比べて、内的世界というのは現象として何かが起こるということはなく、目で見ることも耳で聞くこともできない世界です。
心の世界では、何か問題となることがあったとしても、それを直接自分以外の人が認識することができないわけです。
したがって解決と言っても、それはもっぱら問題を深く認識して、それを受け入れるということになるのです。
そして結局、外的世界の問題を解決したからといって、内的世界の問題がなくなるわけではありません。
しかし逆に内的世界の問題を解決することができたら、外的世界で何が起ころうとも問題とはならくなってしまうのです。
つまり、内的世界をいつも意識に上げて、そこから目を背けずにすべてを受け入れることでしか本当には問題を解決することはできないということです。
外的世界がどうなっていようと、そこに翻弄されている限り、何も根本的な解決にはならないことを忘れずに、常に自分の心と対話することが大切なのです。