「愛」の法則

生まれて初めてお金を稼ぐという経験をしたのは、確か学生の時にやった家庭教師のアルバイトでした。それを皮切りに様々なバイトをしました。

夜中に徹夜でとある工場で働く単発のバイトや、ろばた焼きのお店で働いたり、有名なお祭りでたこ焼きを作って売ったりしたこともあります。

学生の頃のバイトというのは、悲壮感がなくて楽しみながらやることができてよかったと思っていますが、それでも部屋で好きなことをしているほうがいいに決まっています。

働くということは、楽しいとか苦しいとかは別として、労働を提供することでその報酬を手に入れるということですね。

勿論どうせ働くのなら楽しく仕事をして報酬をもらえるほうがいいに決まっています。ですが、いずれにしても、お金を手に入れるためには何らかの仕事をしなければならないわけです。

宝くじに当たるとか、遺産が転がり込むなどの特別な場合は別として、労働を提供する必要があるのです。

そしてそうしたことは、何も労働とお金の関係だけではなく、この世界のほとんどの場合に当てはまることなのです。

つまり、何かを手に入れるためにはそれに見合う何かを提供する、あるいは与える必要があるということです。勉強を頑張ってテストでいい点数を取るなども同じです。

広い意味では取引をしていると言ってもいいかもしれません。英語では、give and take などというようですね。

このように、何かを手に入れるために与えるということは、この世界で生きていく上での誰もが知っている基本的な法則だと言えます。

その法則からはずれるのは、何も期待せずにただ与えるという行為ですが、そうしたことが全くないわけでもありません。

無報酬で働くボランティア活動などはただただ与える行為と言えそうですね。そして手に入れるために与える行為と、何も期待せずに与える行為ではどちらがより満たされた気持ちになれるでしょうか。

それはきっと無報酬で与えることの方だと言えそうです。なぜなら、その場合に与えられるものとは「愛」だからです。形はどうであれ、その中身は「愛」なのです。

そしてその場合に限り、実は「愛」が与え返されるのです。手に入れるために与えるのがエゴの法則なら、この「愛」が与え返されるのは「愛」の法則とも言えるかもしれません。

このことは経験したことのある人だけが知っていることです。心の中が暖かくいい気持ちになって、とてもすがすがしい感じがする経験だからです。

エゴの法則の中で生きるのか、「愛」の法則で生きるのか、どちらを選ぶのもあなたの自由ですが、より幸せに近づけるのはそのうちの一方だということですね。