無知である喜び

みなさんは大人と子供の違いって何だと思いますか?大人はいろいろな経験や知識が豊富で、子供よりは沢山のことを知っていると一般に思われています。

子供は生を受けてから間もないので、当然のことながら経験が足りません。だからこれから学校や人生で勉強して知識を増やしていくのですね。

しかし、本当の違いはそこではありません。子供は自分がまだ無知であるということに気づいています。だから、素直にいろいろな事に疑問を持つし、怖がりもします。

それに比べて、大人の我々は自分が同じように無知であることに気付いていないというところが最大の違いなのです。

なぜなら、子供から発せられた単純な質問に答えることができないからです。自分はどうして生まれてきたのか、なぜ宇宙があるのか、死んだらどうなるのかなど。

どれ一つとってももっとも基本的な質問に答えられないのです。大人が知っている知識というのは、この世界では重要視されることもありますが、本当に大切なことは知らないのです。

本当に大切なこととは、自分たちが幸せになるために知るべきことです。生きている理由が分かれば心穏やかになれるはずです。

死ぬということの本質が分かれば、恐れずに生きることができるかもしれません。結局何も知らないままに大人になっているため、いつまでたっても恐怖の中で暮らしているのです。

自分は子供のときと何も変わらずに、無知のままだということをまずしっかりと認めることです。無知であることは決して駄目なことでも悪いことでもありません。

無知であることを恥じるという習慣があるために、頑張って知識を増やそうとしてきただけです。でもその知識をどう使っても幸せには至らない、どうでもいい知識ばかり増やしてきたのです。

無知であるということを認めてしまうと、何の責任も感じることがなくなります。子供と同じように無邪気なままでいることができるのです。

ここに「委ねる」という大切な心があるのです。大人になると、自分の知識や能力で何とかしようと頑張ってしまい、それが重圧となって苦悩を呼び込んでしまいます。

純真な子供のように、「委ねる」ことを思い出すことです。無知であることを精一杯喜びましょう。そこにこそ、本当の心の平安があるのですから。