光が闇を消す

光が入り込まない闇の部分に、外から光を当てれば当然闇というものはなくなってしまいますね。つまり、元々闇という場所があるわけではなく、ただ光が届かない場所というだけのことです。

実は、私たちのありとあらゆる苦悩の大元は、光を遮ることで闇を作り出すことができるという信念であると言えるのです。

それは隠蔽することができるということ、なんらかの情報なりを隠して伝わらないようにすることができるという思い込みです。

闇を作ることができるということは、都合の悪いことを隠しておけるということにつながり、それは目を背けたいものを一時的に見なくてすむようにする方法だと言えます。

そうやって、直視したくないものを闇に葬ることを繰り返してしまうと、結果としてはその闇が肥大化してしまい、巨大なエネルギーを溜め込むことになります。

そして溜め込みすぎてしまった闇の中身は、いずれはなんらかの方法、例えば爆発などによって表面化することになるのです。

私たちはこうしたことを心のメカニズムとして持っていて、ほとんど誰もが心の闇を抱えながら生きているとも言えるのです。

闇が表面化することで、本人はびっくりしてそれにどう対処すればいいのか分からずに困ってしまうということも起きます。例えば、急に涙が止まらなくなったり、怒りが爆発するなど。

また、そうした表面化することとは別に、抑圧された闇の部分というのは、必ず外の世界へと投影されて、本人がそのことに遭遇するという結果を作り出すのです。

どちらの場合でも、本人は苦悩したり困ったりして、セラピストのところに来ることになります。したがって、心の癒しの基本とは、本人が無自覚のうちに抑圧してきた都合の悪い闇の部分をセッションによって表面に浮上して見えるようにすることです。

場合によっては、それは楽しい作業ではないかもしれませんね。元々都合の悪いものを隠蔽していたものですから。それでも、その闇と無理のない程度に対峙することで、少しずつ光が当たるようになるのです。

そして、それができた分だけ、心は安らかな状態へと移行していくことができるようになるのです。地道な作業ですが、こうしたことをある程度続けていくことが必要です。