昨日のブログでは、誰もが未来の自分に多大な期待を寄せているというお話しをしました。一般常識的には、期待するということは別に悪いことではないと考えられていますね。
しかし、期待というのは今を否定しつつ、もっといいものを手に入れようという欲望であると捉えれば、期待しない生き方がどれほど心が平安でいられるか分かります。
期待というのは、過去の記憶から生まれるものです。未来に何かを期待して、それによって何らかの行動をするのです。
すると、それが体験を生み、その体験の中から印象に残るものを記憶として蓄積するのです。その記憶には、満たされない否定的な想いなどが詰まっています。
それを原動力として、ある想念が起きてくることになり、その想念の中味として未来に対する期待、あるいは欲望がやってくるのです。
そうして、その期待を実現しようとして、また何らかの行動を起こすことになり、それが本人の体験となって残ることになるのです。
こうした、期待と記憶の連鎖、あるいは循環が延々と続くことになるのです。したがって、期待と記憶というものは、どちらかが単独であるものではなくて、互いに依存しあっているのです。
どちらが欠けてももう片方が残ることはできません。記憶がなければ、あるいは記憶を使わなければ何の期待も生まれることはできないのです。
また、期待をできるだけしないようにすれば、どんな体験をしようとも、そこには特別に印象に残るようなことがなくなってしまい、結果として記憶には刻まれなくなるのです。
過去の記憶を使わないようにするには、起きてくる無数の想念に巻き込まれることがないように気をつけて、日々の生活をすることです。
それが今に生きるということです。それができれば、期待も同時に起きなくなってきます。記憶と期待を手放すことができたら、完全に今このときだけに意識を向けることができるようになりますね。
それはきっと充実した時間を過ごすことが出来るようになるはずです。いいも悪いもないと思い込んでいた、記憶と期待、どちらも必ず自分を苦悩へと運んでいくということをしっかりと認識すべきだと思います。