私は子供の頃から内臓が弱くて、時々腹痛に襲われることがありました。そういう経験が多いからかもしれませんが、そうした肉体的な痛みとは一体何なのだろうとよく考えたものです。
頭痛や歯痛、あるいは打撲などによる身体の痛み、そうした肉体的な痛みだけではなく、精神的な痛みというものもありますね
悲しみやさびしさ、恐れや怒り、そして喪失感などの否定的な感情はすべて精神的な心の痛みと言えますね。そして、ここからが本題です。
私たちはそうした心や身体の痛みこそが、苦しみの原因だと思い込んでいます。そうではありませんか?きっとそうに違いないと思っているはずです。
しかし、実はそうではないのです。身体の痛みであろうと、心の痛みであろうと、痛みそのものには何の問題もないのです。
勿論痛みを好む人はあまりいないのは当然ですが、それが苦しみを起こすわけではないということに気が付いて欲しいのです。
本当は、そうした痛みを「何とかしたい」と思うことこそが、苦しみを生み出す原因なのです。何とかしたいと思って、その通りになればそれは快楽を得られるのですが、そうならなければ、そこに苦しみがやってくるというわけです。
私はお腹が痛くなるたびに、その痛みの中には、痛みそのものと苦しみの両方が混ざっているということをはっきりと感じていました。
そして、実は痛みそのものよりも苦しみの方がより辛いのだろうということも分かっていました。その痛みを何とかなくしたいと思いつつ、なかなかその痛みがなくならないことによって、そこに苦しみが発生するということに気づいたのです。
どんな痛みも、それ自体はそのままでOKなのです。それについて、あるがままを受け止めていられたら、そこには苦しみはやってこないのです。
それを何とかしたいという思いが問題なのです。その思いが強ければ強いほど、苦しみもそれにつれて大きくなるのです。
したがって、苦しみから解放されたいと本当に望むのであれば、どんな痛みも問題はないとはっきり理解したうえで、それを真正面から見てあげることです。
逃げも隠れも否定もせずに、それを見てあげることができれば、恐怖であろうが怒りであろうが、どんな痛みでも苦しみに姿を変えることはなくなるのです。
勇気を持って試してみて下さい。ご自分で検証することが何よりも大切です。