親を内在化する理由

誰もが幼いころに、親の内在化ということを行います。行うといっても実際の行動ではなく、心理的に行うということです。

それはどういうことかと言うと、自分の親にそっくりな人格を心の中に作ってしまうのです。勿論それは、無自覚のうちに行われるので、本人に気づかれることはありません。

作られた人格は、副人格として心の中にしっかりと定着して、それ以降の人生においてとても重大な影響力を持って活躍することになるのです。

なぜそんな人格を作ることになるのかといえば、それは自分を守る、自己防衛のために他なりません。では、親の内在化がどのようにして自分を守ることになるのかを見ていきます。

たとえば、子供を否定する親がいたとすると、その子供は自分でも知らぬ間に自分のことをまるで親が否定するのと同じように、自己否定する人格を作り上げてしまいます。

そして、実際に親に否定されるよりも前に、自分の中で自分が否定されてしまうので、そこで否定されないようにと行動修正することができるのです。

親に否定されてしまえば、もしかしたら親に嫌われて見捨てられてしまうかもしれないという大変な危険な事態になりかねないわけです。

それに比べて、自分自身に否定されるだけであれば、特別に危険な目に遭うということもありませんので、結果として自分を救うことになるのです。

親の内在化は、いつもこのブログでお話ししている自己防衛システムの中のもっとも標準的なものの一つであるということができます。

ということは、つまり親の内在化にいつまでも翻弄されていると、結果として自分を守るどころか人生が非常に不自由なものとなってしまいます。

なぜなら、自分で自分の気持ちを抑圧することになってしまうからですね。あなたはどんな人格の親に育てられたでしょうか?

そして、その親の内在化した人格にどれほど条件付けされた人生を生きているでしょうか?自分の中にいる親二世をしっかり見てみることです。

その上で、その副人格の思いや気持ちを丸ごと受け止めてあげることができるなら、もうそれに惑わされることもなくなるはずです。