独り言を言わない

この世界は二元性だとよく言われますが、実際のところそうではありません。世界をそのように解釈している思考こそが、二元性を形成しているに過ぎないのです。

思考とは分離を意味するのです。ひとたび思考すれば、あらゆるものが分離されて、その結果として二元性の世界を映し出すというわけです。

思考の申し子である言葉を使えば、当然のこと二元性の世界しか表現することはできません。それなのに、誰かに何かを伝えようとすれば、言葉はどうしても使わざるを得ないのです。

そうやって、人間社会では言葉が流通することで、この世界こそが二元性なのだと思えるようになってしまったということです。

「私は…」と切り出せば、その裏には「あなた」があるし、「好き」と言えば、「嫌い」が必ずついてくるのです。「好き」だけなら、「好き」は消えていってしまうはず。

だから、「私」は私だけが存在する世界では、消えていく運命なのです。そうやってすべてが消えていった先に残るもの、それが非二元の世界です。

思考にまみれている私たちにとっては、非二元というと何か特別な不可思議な世界のように感じてしまうけれど、それはまったく真逆なのです。

非二元こそがあるがままの自然なこの世界の姿なのです。思考は便利なツールには違いないのですが、その一方で分離を避けることができないのです。

分離がエゴを生かし、この世界に物語性をもたらし、そして私たちに苦しみをももたらすのですから、独りでいられるときくらいは、なるべく思考から離れていることです。

独り言をやめるだけでなく、マインドの内側でもうっすらつぶやいているあらゆる言葉を使わない練習をしてみることですね。