自分自身を笑う

私たちは、他人のことをいろいろな意味で笑うことがありますね。態度や表情がただ面白くて笑うこともあるし、くそ真面目ぶってる人も笑う対象です。

けれども、他人のことを笑っているうちは、まだ物語の中の住人だと思えばいいのです。自分自身のこと、自分の人生について笑うことができるなら、そのときには物語と距離ができたということです。

どうにもこうにも、自分が人生を生きている様が面白くて、滑稽で仕方なくなるのです。そうなると、もう決して深刻になることができません。

なにしろ、一番滑稽なのは深刻に思い悩んでいる自分だからです。自分のことを笑うといっても、蔑んだり否定的なニュアンスはありません。

ただただ、微笑ましく感じて、優しい気持ちで見守っているだけなのですから。物語の中の自分は、何とかして不安で仕方ない自分を励まそうとしてあらゆる手段を講じるのです。

いい人になろうとしたり、相手にとって役に立つ人物になろうとしたり、どんなことをしても元々の自分という存在の価値が変わることなどないのに。

それでも、他人からの評価を少しでも高く保とうとして孤軍奮闘するのです。それも本当に幼い子供の頃からそれは始まるのです。

それがどんな物語であれ、いつかは終わりを告げて、跡形もなく消えていくのですから、しょせんは他愛のないことなのですね。

物語との距離感を示すバロメーターは、自分を笑えるか、深刻さがなくなっているかということですので、いつもチェックしてみて下さい。