期待がなくなれば至福がくる

人は決して満たされることがありません。一過性の喜びや、一時的な満足感ならいくらでも味わうことができますが…。

外側にある何かによって、真に満たされるということはないのです。それが、快適な暮らしであったり、欲しいと思っていた何かであったり、恋人や家族であっても同じなのです。

物質的なものであろうと、非物質的なものであろうと、どんなものでもそれを手にすることで永遠の満足を得ることは不可能なこと。

だから、お金持ちはそうでない人よりも絶望が近いし、恋人がいる人はいない人よりも絶望しやすいのです。けれども、どれほどこんな情報を耳にしたところで、実際に体験してみないことには納得できない。

お金が10億円転がり込んできたら、きっと幸福になれるに違いないし、もしなれないとしても一度でも経験しなければ本当のことは分からないと思っているのです。

確かに体験は重要なのですが、一度きりの人生で一体どれほどのことを体験できるでしょうか?仮に生まれ変わったところで、すべてを忘れてしまえばまた同じことの繰り返しです。

小さな体験であっても、それを十全に味わうことができれば、きっとそれをベースにして類推できるはずなのです。

これまでの人生の中で、一つや二つ願いが叶った経験をしてきているはずですが、それで満足したかどうかを思い出してみることです。

気づきたくないのかもしれませんが、何を手に入れても満たされないということは、もう自明ではないでしょうか?

このことに早く気づいた人は幸運です。人生に対する期待が小さくなればなるほど、至福がやってくることが増えるからです。

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