分離(防衛)が消えて全体性(無防備)へと戻る

私たち人間もほかのすべての動物と同じように、完全な無意識状態で生まれてきます。赤ちゃんが無邪気なのは、まだエゴが芽生えてないからです。

しばらくすると、エゴを持った親との生活を通して、次第にエゴが育ってくるのです。エゴの成長とともに、無邪気さは少なくなる傾向にありますね。

それはエゴが、自己防衛を開始するからです。防衛するためには、無邪気さは都合の悪い態度だと判断するからですね。

そしてエゴの発達とともに、それまで眠っていた意識が、その一部だけを目覚めさせていくのです。つまり、意識的な(自意識)部分が発生します。

エゴという架空の自己を作り上げることで、人間は意識的な存在へと奇跡的に変貌することができたのです。

ただし、その意識的な部分はごく一部だけであり、残りの部分は無意識状態のままに残ります。そうやって、自覚できる部分と無自覚な部分に分離してしまうのです。

一般的には、この状態が死ぬまで続くことになるのです。ところが、ごくごく稀に、無意識の領域に光を当てることで完全に意識的な状態へと変わって行った人もいました。

彼らには隠された内面がなくなってしまったために、エゴという幻想も一緒に消えてなくなってしまったのです。

それが覚醒ということですね。だから覚醒した人は、完全なる無防備の状態なのです。そのために、彼らは無邪気な子供のようにもなるのです。

あらゆる分離が消えて、全体性へと戻ることになるのですね。

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