クライアントさんが、「○○をしなければと思っているのに、どうもできない」といわれたら、セラピストの自分は、それはしたくないんだなと心の中で思いながら聞いています。
あるいは、「○○をしてはいけないと思っているのに、どうもしてしまう」と言われたら、それはしたいんだなと思うわけです。
何だか天邪鬼な意地悪爺さんのように思われてしまうかもしれませんが、それはセラピストの「さが」と言えるかもしれません。
自分を癒そうとしてもなかなか癒せないのは、心の中に癒したくないという強い気持ちがあるからに違いありません。
100%の気持ちで癒そうとしているのであれば、すぐに癒すことが可能なはずですね。つまり、心の中にはいつも自分が意識しているものと正反対の意志が隠されているのです。
相反する二つの気持ちに気づいている場合は、それを葛藤と呼びますが、一方私たちは、一般的に自分にとって都合の悪い感情や気持ちなどを見ようとせずに生きています。
そのために、なぜ自分が思うように行動することができないのか、疑問に思ってしまうのです。心の中にあるあらゆる意思、気持ち、感情から目を背けずに見てあげることができれば、なぜ?はかなり消滅するはずです。
癒しとは、自分を改善していこうとすることではなくて、心を全的に見つめてそれを否定することなく受け入れることなのです。
心の中にぎっしり詰まっている過去の気持ちをしっかり受け止めることができれば、今の自分はそれに乗っ取られることがなくなり、不自由さが小さくなっていくはずです。
そのためには、思考を脇へ置いて、ただ見ることです。それができるようになればなるほど、心が成熟していくということなのですね。