私たちは、毎日この人生であるものに必死で投資しています。来る日も来る日も果てしなくそれに投資し続けているのです。
そのあるものとは、勿論「私」つまりエゴに対する投資です。投資とは、それにお金や労力や時間などのあらゆるエネルギーをつぎ込むことですね。
そしてその投資の目的とは、常に何らかの方法でそれを救うということと深く関係しているのです。
つまり、「私」という想念であるエゴをいつも救うことに全エネルギーを投資しているということです。具体的には、欲望と恐怖を使って。
欲望とは快楽を手に入れようとすることへの執着であり、恐怖とは苦悩を排除しようとすることへの執着です。その二つの執着によって、エゴを救えると信じているのです。
それが私たちの人生だと深く気づくことがとても大切なことです。そして、それを理解することができたら、その先に気づかねばならない最も大切なことがあります。
それは、あなたに恐れや欲望が起こったときに、誤りであり去らなければならないのは、欲望や恐れではなく、欲望をもったり恐れたりする個人なのだということです。
欲望や恐れは完全に自然で正当なものかもしれないのです。そして、それらと闘うことは要点をはずしていると言わざるを得ません。
それらによって動揺させられる個人が、過去と未来における誤りの原因なのだということです。自分のことを個人だと信じる限りは、欲望と恐怖の罠から抜け出すことはできません。
それこそが、無限に続く輪廻の罠だと言ってもいいかもしれません。 このことを理解することができたら、エゴへの投資をやめて、自分の本質に気づくことにのみ投資をする決意をすることです。
といっても、深刻に考える必要はありません。個人だと自分を信じ込ませているこの「私」の正体を見切ってあげればいいのです。そうすれば、それは必ず本当の自己の中へと解けていくはずです。